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上連雀三平への布石 - バーコードファイター/小野敏洋

コロコロコミックにて1992年〜1994年の間連載された作品。バーコードバトラーというおもちゃとのメディアミックス作品です。
バーコードバトラーは市販の商品のバーコードを読み取ってオリジナルキャラを作れる、という画期的なおもちゃで、当時そこそこの人気を博したようです。私は微妙に世代ではなく、存在を知っているくらいでした。

バーコードバトラー
現在は携帯アプリで稼働しているみたいです。


内容はコロコロやボンボンによくあるトイマンガと同じくそのおもちゃで全国大会したり、謎の敵と戦ったりしてます。実際のおもちゃより性能アップしてたりヴァーチャル映像がついたり主人公には可愛い幼馴染や強いライバルがいたり。ホントによくある感じです。

ただそこは後に電撃ピカチュウを描く小野先生、絵やストーリーも結構しっかりしていて、大人になってから読んでも面白いです。
しかし、ただそれだけのことではわざわざネット上で復刊投票が起こり、復刊ドットコムにより復刊されたり、CDの買いすぎで金欠な私が上下巻合わせて4000円を出して買うわけがありません。

ご存知の方も多いかもしれませんが、小野敏洋先生はこの作品の後電撃ピカチュウを描き、その後成年漫画・・・つまりエロ漫画の世界にも"上連雀三平"として登場。いまや一部の方々の間では超絶な知名度を誇る漫画家となっています。その一般の方から見たらあまりにも特殊なジャンルは普通敬遠されがちなんですが、今ではだいぶメジャーになってきています。それは何故か?
そう、それはこのバーコードファイターという作品が実は"上連雀三平"への布石だったからです。
みんな知らず知らずのうちに小野先生にしてやられちゃってるのさ!

さぁそれではいよいよレビュー・・・というより壮絶なネタバレに突入します。
心の準備はいいですか?
このサイトで音楽のレビューとかライブレポとか読んだりしてる人は今すぐそっとページを閉じてください。
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親愛なる変態の皆さんこんにちは!


主人公は熱血漢で情に厚いゲーム好きな小学生虎堂烈。
バーコードファイトなら、誰にも負けねェ!
そして烈の幼馴染、有栖川桜ちゃんがいわゆる解説役、助手役。

第一話は烈がバーコードファイターと出会います。
よく行くゲームセンターに行ってみたらそこにはバーコードバトラーを使った超大型体感ゲーム"バーコードファイター"が収納されたゲームドームができていました。
シミュレーターに入ってマシンにバーコードを入力するとヴァーチャル映像が展開し、まるでロボットのコックピットにいるような感覚でゲームができるのです。
さっそくやってみるも初心者なのでもちろん負けます。ここで第一のライバル登場。
三週間連続バーコードファイターランキングトップな掛須
まぁ極初期に出てくるライバルって大体生涯のライバルか咬ませ犬のどちらかなんですが(ex.ヤムチャ掛須はどうみても咬ませ犬の方です。
一週間後に対決することになり強いバーコードを探す烈とさくら。そしていざ対決。
徹夜でバーコードを探したかいもありなんとか勝利します。


第二話。
初っ端で掛須がさすらいのアメリカ人ファイター・スティーブに負けてしまいます。
ほらね、第二話にして咬ませ犬化。期待を裏切りませんね。
そして後日烈と対決することに。
ここでメディアミックス作品らしく、「このバーコードからは合体可能なデータが出る」などの情報がえがかれています。そしてその情報をもとに見事スティーブに勝利する烈。これを機にスティーブがクリリン化。


三話、四話は新キャラの登場もなく進行。掛須が勝ちまくったりしてます。このころまでは強かったのに・・・
第五話ではバーコードバトラーIIが導入され、今まで強かったバーコードが通用しなくなってしまいます。
そこに中学生の薬師寺バーコードバトラーIIから導入された魔法使いキャラをひっさげてやってきます。
 ※中学生
仮に天津飯としておきましょう。
烈も一度は負けてしまうものの、なんとか魔法使いのバーコードを見つけ出し、薬師寺に勝利します。
この回はなぜかバーコードの説明でイデオンらしき影が登場してました。
宇宙を消し去る力を持つジム。

六話ではヤム・・・掛須と烈でタッグを組みます。どうでもいいので省略。


第七話で海にやってきた烈達一行。さくらちゃんの水着姿も拝めます。

海岸でゲームドームを見つけた烈。そこで新たなライバル・御沙吾と出会います。しかし慣れない水中戦と御沙吾のバーコードの特殊能力の前に敗れ去ります。ピッコロ大魔王登場です。
悔しい烈はひたすらバーコード集め。花火をしようと誘ったさくらちゃんにも辛くあたってしまいます。
寂しがるさくらちゃん。
そして烈は御沙吾と再戦。苦戦するもさくらちゃんのバーコードと合体してなんとか勝利します。

第八話では御沙吾が烈達のゲームドームにインターネットを通じて乱入。次回さくらちゃんを賭けての決闘をすることになりました。それを聞いたさくらちゃんの反応はというと。

大好きな烈っちゃんが自分を賭けて戦うということでもうわっくわくです。
勝負はなんとか新たなバーコードを見つけてほぼ引き分けのような形で勝利。さくらちゃんは無事守られました。


第九話では新キャラが登場。おいらっ娘・スズシロ
トランクス的ポジション
彼女との対戦で実は烈が今まで勝ってこれたのはバーコードの能力が高いだけで、複雑な操作ができてないことが判明。スズシロ「バーコードの上にあぐらかいてるだけ」と言われコテンパンにやられてしまいます。
しかし一週間の修行の末捜操作技術が格段に向上した烈はなんとかスズシロに勝利。
そこに怪しげな男が登場。

頭にベルトって。
どうもスズシロの兄らしいですが烈に「おまえは合格だ」などと言ってきます。その真相は如何に・・・


第十話。前回からの続き。いきなり何者かが全国のゲームドームに回線を通じて乱入。
すべてのバーコードを管理するバーコード皇帝・ニーズホッグが現れたのです。
バーコード皇帝ニーズホッグ
ゲームドームを支配し、子供達に使わせないようです。それに何の意味があるんでしょうか。
というよりこいつどこかで・・・

あ。


ニーズホッグの手下とさくらちゃん、スティーブ(クリリン)、薬師寺(天津飯)が対決するも敗れてしまいます。そこに烈が登場。前回の修行の成果を発揮して見事撃退します。
そしてニーズホッグは撤退。ベルト男も自らの名を"バーコードマスター"と言い残し去って行きました。
さぁ、面白くなってきましたよ!なんせバーコードエンペラーにバーコードマスターですからね。


そして問題の第十一話。
マスターに連れられ雪山に修行にきた烈達一行。そこで大阪店チャンプの阿鳥改と出会います。改はさくらちゃんに一目惚れ。猛烈アタックを仕掛けます。
温泉がゲームドームになってるので入ろうとするスズシロに対し乗り気じゃないさくらちゃん。スズシロに強引に脱衣所まで連れていかれて無理やり脱がされてしまいます。


そこで響く絶叫。


その声で修行で疲れて休んでいた烈がさくらちゃんが温泉に行ったことに気が付き「なにぃ!やべぇ!!」と何やら焦っています。ページをめくると・・・


男。

男。

なんてこったい!なんてこったい!
さくらちゃんが男の子だったなんて!
読者の声を代弁する改。
改はオカマなさくらちゃんを非難。幼馴染の烈は勿論知ってたようでさくらちゃんを擁護します。

「さくらはオカマなんかじゃない!心は女でも体は立派な男だ!!」
フォローになってんだかなってないんだか。


ここらへんで上連雀三平への萌芽がみてとれます。
後に小野先生が名をかえ上連雀先生となりエロ漫画を描くようになることは最初に書いたとおりなんですが、得意とするジャンルがショタ(少年愛)とふたなり(両性具有)なんですよね。
その作品で繰り広げられる凄まじいエネルギーに満ち溢れた独特な世界観は"おちんちんワールド"と言われるほどです。
ですので、ここでさくらちゃんみたいな可愛い子におちんちんが生えてるという事実をうら若き少年達に認識させ、将来の上連雀フォロワーを生み出そうとして・・・いや、考えすぎですよね。
普通みんな改みたいに拒否反応を起こしてしまうはずです。改は読者視点なんですね。


その後「さくらをバカにするやつはおれが許さん!!」と烈と改で勝負。
しかしさすがは大阪チャンピオン。烈といい勝負をします。うん、改はベジータでいこう。
いいとこで電線が切れ勝負はお預け・・・と思ったらチンコの大きさで烈の勝利。
なんだそれ。
改がさくらちゃんにオカマ呼ばわりしたことを詫びて一件落着。


その後天下一武道会が始まって、ヤムチャクリリン天津飯が修業の成果を見せたり見せなかったりで上巻終了。
・・・あれ、今何のレビューしてるんだっけ?
下巻では天下一武道会にバーコードエンペラーが乱入してきてマスターとエンペラーの因縁なんかが分かります。
烈はベジー・・・改とフュージョンしてエンペラーを撃破。


二十話で烈達一行は大阪へ。夏ということで扉絵は水着です。
 ※男の子です。
久しぶりにさくらちゃんと会った改の心は揺れていました。頭では男だと拒否していても心ではさくらちゃんに魅かれているのです。
ええ彼は本当に読者視点ですね。
大阪でもひと悶着あったんですが割愛。


話は進みDrゲロ的な人物とか出てきてひと悶着。
ここではバイオバーコードというものが出てきます。
古代バーコード文明によって作り出された遺伝子すら操作可能なバーコードで、これが悪用されてしまっているのです。
ベルト頭マスターの過去のエピソードもはさみつつ烈が世界の平和はおれが守る!と息巻いてとりあえずひと段落。


ここでサイドストーリーが入ります。
体感型RPGでお姫様になったさくらちゃんでしたが、バイオバーコードが使用されたゲームだったらしく、自分がお姫様だと信じたままゲームの世界から出られなくなってしまいます。
さくらちゃんを救うため烈達はゲームドームを借りてそのゲームをプレイ。
どうやら本人の願望も強く、現実に戻るのを拒んでいる(ゲーム内のさくらちゃんはお姫様なので女の子)ため非常に危険な状態らしく、先を急ぐ一行。
改と初めて顔を合わせたヤムチャは改に宣戦布告。
 ヤムチャは事実を知りません。
それに対して改。

そりゃ動揺するよね。


そしてついにラスボス戦。
改はボスを烈達に任せ、さくらちゃんの元へと行きます。そこで"女の子"のさくらちゃんを見て「このまま永遠に覚めない夢に生きるのも悪くないかも・・・」と思ってしまいます。
しかし迷いを断ち切って一言。
迷い断ち切りすぎ。
いやー、ホント改は読者の気持ちを代弁してますよねーあははー。
してやられた!小野先生にしてやられた!
こうして改くんがスーパーベジータしたので無事さくらちゃんは現実の世界に戻ってこれました。


やはりこの作品は上連雀三平への布石だったと言えると思います。可愛いければ男の子でもいいかもって当時思った読者は多かったでしょうし、むしろ可愛い女の子より男の子の方が・・・なんて読者もいたはずです。
そういった少年たちが大人になって上連雀先生の作品と出会ったらどうでしょう?興味を抱くと思いませんか?
また下巻のあとがきのコメントには「このマンガの5年後に「新世紀世界大戦」とも呼ぶべきバイオバーコードをめぐる戦いが勃発する。そして、その戦禍は世界のあちこちに形を残し・・・アレにつながるのです!」とのお言葉。
これで上連雀ワールドではなぜあんなにも生えているのかが解明されましたね!すごく自然!


ちなみに作中、裏表紙にさくらちゃんの背中に羽が生えているシーンがあるのですが、これは「性別なんて飛び越えちゃう」っていう意味なのかなーとか思うんですけどどうなんでしょう。考えすぎ?



あ、作品自体はスーパーベジータの話で投げっぱなしジャーマンなまま打ち切りでした。


それでは最後に上巻のあとがきにある小野先生のありがたいお言葉を。
「読者の中にはキョーミの方向性が狂っちゃった人もいたみたいだぞ反省しろ。」
小野「それもまた人生!」